予防接種における定期接種と任意接種の違いとは?

予防接種には、「定期接種」と「任意接種」という区分があります。
これらの用語はメディアでも度々見かけるようになりましたが「用語は知っているけれども、具体的にはどういうこと?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、この「定期接種」と「任意接種」についてご説明したいと思います。

定期接種は「努力義務の有無」で分類される

予防接種法で定められた定期接種は、努力義務(本人が接種するよう努めなければならない)と接種勧奨のある「A類」と、努力義務、接種勧奨共に無い「B類」とに分類されます1)。A類B類ともに、定期接種の実施主体は市町村になります。

A類は、集団予防に重点が置かれています。感染すると重症化する可能性の高い感染症や、後遺症を残す可能性のある感染症を中心に、14の感染症が定められています。接種対象は乳幼児や学童が中心となっており、原則、居住地の自治体で無料で予防接種が受けられるようになっています。

B類は、個人の発病や重症化の予防に重点が置かれています。インフルエンザと肺炎球菌の2つの感染症があり、65歳以上の高齢者、あるいは60〜64歳で心臓や腎臓などに重い病気がある人が対象です。接種に努力義務はなく、費用は多くの自治体で一部実費が徴収されています。

また、A類・B類の定期接種は、それぞれ接種のできる年齢が決められています。この対象年齢を外れると、定期接種として受けることができなくなり、任意接種となってしまいます。

予防接種法における定期接種の種類(2021年4月時点)

感染症の分類

予防可能な感染症

ワクチン名

定期接種

集団予防に重点を
置いた感染症(A類)

努力義務あり
接種費用基本的に
不要(自治体負担)

Hib(ヒブ)感染症

ヘモフィルスインフル
エンザ菌b型ワクチン

小児の肺炎球菌感染症

13価肺炎球菌ワクチン

B型肝炎

B型肝炎ワクチン

感染性胃腸炎
(ロタウイルス)

経口弱毒生ロタウイルス
ワクチン(1価)

経口弱毒生ロタウイルス
ワクチン(5価)

ジフテリア、百日せき、
破傷風、ポリオ

4種混合ワクチン(DPT-IPV)
3種混合ワクチン(DPT)
2種混合ワクチン(DT)
不活化ポリオワクチン

結核 BCG

風しん

麻しん風しん混合(MR)
ワクチン
風しんワクチン

麻しん

麻しん風しん混合(MR)
ワクチン
麻しんワクチン

水痘(みずぼうそう)

水痘ワクチン

日本脳炎

日本脳炎ワクチン

HPV感染症

ヒトパピローマ
ウィルスワクチン(2価)
ヒトパピローマ
ウィルスワクチン(4価)

個人予防に
重点を置いた
感染症(B類)

努力義務なし
接種費用必要
(一部自治体負担)

インフルエンザ

インフルエンザワクチン
(高齢者が対象※1

高齢者の肺炎球菌感染症

23価肺炎球菌ワクチン
(高齢者が対象※2

※1 インフルエンザワクチンの定期接種の対象者
①65歳以上の方、②60~64歳で、心臓、腎臓もしくは呼吸器の機能に障害があり、身の周りの生活を極度に制限される方、③60~64歳で、ヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方

※2 肺炎球菌ワクチンの定期接種の対象者
2023年度までは、①該当する年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳となる方、②60~64歳で、心臓、腎臓、呼吸器の機能に障害があり、身の周りの生活を極度に制限される方、③60~64歳で、ヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方。ただし、既に「23価肺炎球菌ワクチン」を接種したことがある方は定期接種の対象となりません。

厚生労働省 予防接種情報 よくある質問
厚生労働省 肺炎球菌(高齢者)リーフレットなどをもとに作成

全年齢(0-成人)ワクチン接種スケジュール
表:全年齢(0歳~成人)ワクチン接種スケジュール

こどもとおとなのワクチンサイト[日本プライマリ・ケア連合会(JPCA)/予防医療・健康増進委員会ワクチンチーム作成]

「任意」は法律(予防接種法)に規定されない接種

高齢者が定期接種の対象となっているインフルエンザワクチンは、対象外の年齢の方々も接種を受けることができます。また、現在定期接種になっていない狂犬病ワクチンや黄熱ワクチンなども、各個人の必要性や希望に応じて接種することができます。
このような予防接種を任意接種といいます2)
任意接種は予防接種法には規定されていない接種であり、接種の費用は基本的に全額自己負担となります。

任意接種のワクチン(2021年4月)

生ワクチン

  • 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
  • 黄熱
  • 帯状疱疹(水痘ワクチンを使用)

不活化ワクチン・トキソイド

  • 破傷風トキソイド
  • 成人用ジフテリアトキソイド
  • A型肝炎
  • 狂犬病
  • 髄膜炎菌:4価
  • 帯状疱疹
  • ヒトパピローマウイルス(HPV):9価
定期接種のワクチンを対象年齢以外で受ける場合

※任意接種の対象は50歳以上に限る

国立感染症研究所 日本で接種可能なワクチンをもとに作成

予防接種によって健康被害が起きたら

定期接種によって健康被害が発生した場合には、予防接種法が定める「予防接種健康被害救済制度」により救済給付を受けることができます3)
また、任意接種によって健康被害が起こった時には、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)による「医薬品副作用被害救済制度」が設けられています4)
詳細については接種を受けた医療機関やお住まいの自治体、またはPMDAにご相談ください。なお、救済制度の詳細についてはこちらのページでも解説しております。
防接種で副反応が起こった時の救済措置(補償制度)

(参考)

  • 1)予防接種の手びき2020-21年度版 P.39
  • 2)厚生労働省健康局結核感染症課 感染症危機管理研修会 予防接種行政の最近の動向について(平成26年10月15日)
  • 3)厚生労働省 予防接種健康被害救済制度
  • 4)独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 医薬品副作用被害救済制度について
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