風しんの第5期定期 予防接種
企業で取り組み、集団感染リスクを低下させる

風しんの第5期定期予防接種について

風しんの対策として、2019年度から「風しん第5期定期予防接種」が開始されました。対象となるのは、昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれの男性で、対象者には自治体より風しんの抗体検査と予防接種を無料で受けられるクーポン券が配布されています(クーポン券の利用は2022年3月までに限る)1)
この期間に生まれた男性は、風しんの定期接種を受ける機会がありませんでした。30代後半以降の抗体保有率についてみると、女性ではすべての年齢で風しんの抗体保有率が90%以上であったのに対し、この年代の男性の抗体保有率かは約80%と低くなっています2)。このため、自分が風しんに罹患りかんし、さらに家族や職場の人等へ感染を広げてしまう恐れがあります。抗体検査を受け、必要な予防接種を受けると、免疫を持っている人が増え、風しんの流行はなくなるといわれています1)

企業も協力を

対象者は働き盛りの男性であり、医療機関に行く時間を作りづらいことから、厚生労働省は企業に対し、定期の健康診断時に風しんの抗体検査を受けられるように協力を呼び掛けています3

風しんはインフルエンザに比べて感染力が強く4)、抗体保有率の低い世代の男性が多い職場では集団感染が発生するリスクがあり、過去にも発生事例が報告されています5)。風しんに感染しても、15〜30%程度の人には症状が現れませんが6)、成人では高熱や発しんが長く続くなど、小児より重症化することがあります7)。また、とりわけ注意が必要なのは妊婦です。妊娠中に感染すると、目、耳、心臓などに先天性の病気(「先天性風しん症候群(CRS)」といいます)を持つ赤ちゃんが生まれる可能性があり、妊娠初期ほどそのリスクが高くなります8)
風しんの感染防止に企業で取り組むことは、個々の従業員やその家族を感染から守るだけでなく、職場での集団感染発生というリスクを低下させる意味でも重要です。

具体的にどうすれば?3)9)10)

企業で風しん第5期定期予防接種を活用する場合、健康診断時に風しんの抗体検査を実施する、という方法があります。具体的な実施方法を以下に示します。

パターン1:特定の医療機関に健診を委託(健診先を企業が指定)する場合

パターン2:社内診療所で健診を実施する場合

パターン3:複数の医療機関に健診を委託(健診先を従業員が選択)する場合

パターン1は、企業が特定の医療機関に健診を依頼する場合です。
この場合に企業が実施する内容は次の通りです。

図:パターン1 特定の医療機関に健診を委託
①社内調整
  • 事業所ごとに、風しん対策の実施にかかる担当責任者を決定
  • 事業主、社内関係者(安全衛生委員会等)、従業員等の理解を得る。
②委託先の医療機関へ確認・打診
  • クーポン券の受託医療機関(集合契約)に登録しているかを確認
    (登録がない場合、集合契約への登録が可能であるかも確認)
  • 定期健診に抗体検査を追加できるか確認
③対象者への案内
  • 対象者への受診票の配布方法(健診当日はクーポン券、免許証や保険証等の本人確認書類持参が必要)の検討
  • 検査結果を会社が把握するための本人確認の方法の検討
  • 抗体がない(陰性)方への予防接種の案内
④予防接種
(医療機関受診への配慮が必要)

抗体がない(陰性)方への予防接種を行う場所を検討する。

  • 健診の委託先で予防接種
  • 従業員が選ぶ医療機関で予防接種
  • 社内で予防接種
    (インフルエンザなどの予防接種経験のある会社が望ましい)

パターン2は、企業が社内診療所で健診を実施する場合です。
この場合に企業が実施する内容は次の通りです。

図:パターン2 社内診療所で健診を実施
①社内調整
  • 事業所ごとに、風しん対策の実施にかかる担当責任者を決定
  • 事業主、社内関係者(安全衛生委員会等)、従業員等の理解を得る。
②クーポン券の受託医療機関への登録 <参考>集合契約の登録方法について に記載の内容を確認、実施
③検査実施の注意事項
  • 検査の外注先に検査方法や価格の確認
  • 対象者への受診票の配布方法(健診当日はクーポン券が必要)の検討
  • 抗体がない(陰性)方へ予防接種の案内
④予防接種
(医療機関受診への配慮が必要)

抗体がない(陰性)方への予防接種を行う場所を検討する。

  • 健診の委託先で予防接種
  • 従業員が選ぶ医療機関で予防接種
  • 社内で予防接種 (インフルエンザなどの予防接種経験のある会社が望ましい)
⑤費用請求の流れ Step1:医療機関(社内診療所含む)から国保連合会を経由して一括請求
Step2:市町村の確認・支払
Step3:国保連合会を経由して医療機関へ一括入金

パターン3は、従業員が選択した医療機関に健診に行く場合。企業にとっては複数の医療機関に健診を依頼する場合です。
この場合に企業が実施する内容は次の通りです。

図:パターン3 複数の医療機関に健診を委託
①社内調整
  • 事業所ごとに、風しん対策の実施にかかる担当責任者を決定
  • 事業主、社内関係者(安全衛生委員会等)、従業員等の理解を得る。
②委託先の医療機関へ確認・打診
  • クーポン券の受託医療機関(集合契約)に登録しているかを確認(登録がない場合、集合契約への登録が可能であるかも確認)
  • 定期健診に抗体検査が追加できるか確認
  • 結果を情報共有することはできるか
③社内で周知
  • 実施について、必要事項を従業員などに周知 (健診当日はクーポン券、免許証や保険証等の本人確認書類持参が必要)

<参考>集合契約の登録方法について9)10)

全国の市区町村と、抗体検査・予防接種の委託や受託契約を結ぶことを委任する方法です。これにより市区町村への費用請求が可能となり、クーポン券の利用ができるようになります。

1. 委任状の作成

  1. 様式を厚生労働省ホームページからExcelファイルでダウンロードできます。
    ※「風しんの追加的対策」 →「医療機関・健診機関向け情報」の「様式等」を参照。
  2. 委任状に必要事項を記入してください。
図:風しんの抗体検査・風しんの第5期の定期接種用委任状

2. 取りまとめ団体への提出

様式が完成したら、自社の取りまとめ団体(又は自社の所在する市区町村)に委任状を提出します。

例:千代田区・・・千代田保健所健康推進課保健予防係
大阪府大阪市・・・大阪市保健所感染症対策課

3. 風しんの抗体検査・風しんの第5期定期予防接種に係る費用の請求及び受領に関する届の作成、提出

検査料等の振込口座情報を登録するため、「風しんの抗体検査・風しんの第5期定期予防接種に係る費用の請求及び受領に関する届」を作成します。
様式が完成したら、会社の所在地の国保連合会へ提出します。

例:東京都江戸川区・・・東京都国保連合会
兵庫県神戸市・・・兵庫県国保連合会
大阪府堺市・・・大阪府国保連合会

  • 1)厚生労働省 風しんの追加的対策について
  • 2)国立感染症研究所 2017年度風疹予防接種状況および抗体保有状況―2017年度感染症流行予測調査(暫定結果)IASR Vol. 39 p39-41: 2018年3月号
  • 3)厚生労働省 風しん対策(抗体検査)の実施率の向上策について(令和2年1月31日)
  • 4)国立感染症研究所 感染症情報センター わが国におけるプレパンデミックワクチン開発の現状と臨床研究(2008.9.18)
  • 5)国立感染症研究所 職場における風しん対策ガイドライン
  • 6)国立感染症研究所 風疹とは
  • 7)厚生労働省 風しんについて
  • 8)国立感染症研究所 先天性風疹症候群とは
  • 9)大阪府 健康医療部 保健医療室 医療対策課「定期健診等でクーポン券を利用できるようにするには」
  • 10)厚生労働省 健康局 結核感染症課「定期健診等でクーポン券を利用できるようにするには」
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