“風しん”

成人男性の感染が増えている

風しんは、風しんウイルスによって引き起こされる感染症です。
主な感染経路は、咳やくしゃみ、会話などで発生する飛沫を介した飛沫感染です。

風しんウイルスの感染経路
図:風しんウイルスの感染経路

風しんウイルスは1人の感染者が、免疫のない7〜9人に感染させるほどの強い感染力を持ち1)、インフルエンザや新型コロナウイルス2)の感染力を凌ぎます。このため、1人感染者が出ると、身の回りで集団感染しやすいと考えられます。

風しんウイルスの感染力
図:風しんウイルスの感染力

風しんウイルスに感染すると、約2~3週間の潜伏期間を経て、まず発熱など軽い風邪のような症状が見られます。そして耳の後ろや後頭部のリンパ節が腫れ、痛みを伴うこともあります。さらに、顔に小さな赤い発疹が現れ、全身に広がります。
しかし、患者の15~30%程度は、感染しても症状が出ないといわれています。3)

風しんは、子供が感染してもそれほど重くはなりません。まれに脳炎などの合併症を伴うケースもありますが、多くの場合、症状は3~5日程度で軽快します。俗に風しんを「三日ばしか」というのはこのためです。

しかし成人の場合、様相が少し異なります。高熱や発疹が長く続くなど、小児より重症化することがあります4)

近年の患者の多くは20〜50歳代5)の働く世代であり、このことが職場で風しん予防対策が必要な理由です。過去、実際に、職場で風しんの集団感染が発生した事例が報告されています6)

男女別年齢群別風疹患者報告数(2019年第1~38 週)、風疹HI 抗体保有率(2018年)
図:男女別年齢群別風疹患者報告数(2019年第1~38 週)、風疹HI 抗体保有率(2018年)

風疹流行に関する緊急情報:2019年9月25日現在
国立感染症研究所 感染症疫学センターより作図

妊娠中の女性は要注意。周囲の人も風しんにかからないようにすることが大事。

風しんウイルスに一度感染すると、ウイルスに対する免疫ができ、再感染することはほとんどありません。一方、免疫を持っていないか免疫が十分でない人は風しんに感染する可能性があります。

とりわけ注意が必要なのは妊婦です。妊娠中に感染すると、目、耳、心臓などに先天性の病気(「先天性風しん症候群(CRS)」といいます)を持つ赤ちゃんが生まれる可能性があり、妊娠初期ほどそのリスクが高くなります。7)

ただし、妊婦の方は風しんワクチンの接種を受けられません。妊婦の方を守るためにも、妊娠を希望する本人はもとより、周囲の人(パートナー、家族、職場の同僚など)も、風しんからしっかり身を守ることが大切です。

先天性風しん症候群のリスク
図:先天性風しん症候群のリスク

予防の切り札はワクチン

現在、風しんに対する特効薬はなく、合併症にはリスクがあるため、かかる前の予防が大切です。
風しんの予防にはワクチン(風しんワクチン、麻しん風しん混合(MR)ワクチン)が有効です。これは生きたウイルスの病原性を弱めた「弱毒生ワクチン」と呼ばれるもので、接種によって、95%以上の方が風しんウイルスに対する免疫を獲得するといわれています4)

現在、すべての幼児への2回接種が定期化されていますが、かつてのワクチン定期接種の対象は中学生の女子だけでした(1977~1995年)。このことにより、定期接種の機会がなかった現在40~50歳代の男性では、風しんに対する免疫のない人が多く、最近の流行の中心となっています。5)

風しんワクチンの定期予防接種と年齢の関係
図:風しんワクチンの定期予防接種と年齢の関係

そこで厚生労働省は、2019年からこうした人たちに無料で抗体検査を実施し、抗体価が基準以下の数値だった方に対してワクチン接種を実施しています(2022年3月まで)。この制度に関し、厚生労働省は、企業に対して協力を依頼しています。8)

コラム
風しんの追加的対策(風しん第5期定期接種)

風しんの追加的対策として、2019年度から、市区町村が実施する定期予防接種に、「風しん第5期定期接種」が追加されました。第5期定期接種の対象となるのは、2020年3月末時点で41~58歳(昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれ)の男性で、厚生労働省が市区町村を介して、風しんの抗体検査と予防接種を無料で受けられるクーポン券を配布しています(クーポン券の利用は2022年3月までに限る)8)

ワクチンは予防の切り札です。家族や職場の人たち、そして生まれてくる子供を守るためにも、さらなる接種の普及が望まれます。

  • 1)国立感染症研究所 感染症情報センター わが国におけるプレパンデミックワクチン開発の現状と臨床研究(2008.9.18)
  • 2)WHO Information Network for Epidemics: COVID-19-a global pandemic What do we know about SARS-CoV-2 and COVID-19?: 05 June 2020
  • 3)国立感染症研究所 風疹とは
  • 4)厚生労働省 風しんについて
  • 5)国立感染症研究所 風疹流行に関する緊急情報:2019年1月7日現在
  • 6)国立感染症研究所 職場における風しん対策ガイドライン
  • 7)国立感染症研究所 先天性風疹症候群とは
  • 8)厚生労働省 風しんの追加的対策について
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